短期・長期金利差とダウ平均の時系列データを使って相関を確認してみました
先日から急に↓みたいな話を聞くようになりました。
逆イールドカーブでアメリカで景気後退の兆候。株価ヤバイ。
自分自身も逆イールドカーブについてはイマイチ良く分かっていなかったので、今後の参考のため、過去のデータを使ってどの程度影響がありそうなのか調べてみました。
逆イールドカーブとは
短期金利が長期金利を上回り、イールドカーブ(利回り曲線)が右下がりの曲線となっている状態のこと。市場関係者が将来的に金利が下がるとみている場合に起こる現象で、一般的に景気後退の兆候として捉えられる。
※野村證券証券用語解説より
「短期金利が長期金利を上回ると景気後退の兆候」とありますが、自分なりにこれをかみ砕くと以下のようになります。
前提
・銀行にお金を預ける場合、1年満期より10年満期の定期預金の方が金利は高い。
・逆に住宅ローンでお金を借りる時、1年固定より35年固定の方が金利は高い。
・以上より金利は短期より長期満期の商品の方が高くなるのが一般的。
事象
・逆イールドは短期が長期満期の国債の利回り(金利)を上回っている状態。
・原因(の一つ)は、市場参加者が今後金利が下がると予想し、金利が下がる前に長期国債を確保しようとするため。
(需給により長期国債の価格が上がる=金利が下がる)
・金利が下がると予想=利下げがあると予想=景気後退と予想、となるため、逆イールド=市場参加者が景気後退を予想しているという解釈ができる。
かなり乱暴ではありますが、こんな感じで、逆イールドが発生する→景気後退の兆候に繋がるという風に理解をしています。
短期・長期金利の金利差と株価の推移(1990年~2018年)
前提
以下の前提で、短期・長期の金利差と株価の推移を確認していきます。
①短期金利=米国2年債の利回りを使用
②長期金利=米国5年債と10年債の利回りを使用
③短期・長期の金利差は、②-①で計算する。
④株価はダウ平均を使用
⑤期間は1990年1月~2018年12月(5日)の各月の終値を使用
1990年~2018年時系列のグラフ
上記前提の③短期・長期金利差、④株価の推移を⑤の期間(1990年~2018年)でグラフ化すると以下のようになります。
考察
1990年以降で逆イールドが発生した(棒グラフが下に向いている箇所)のは、以下の期間になります。
・1900年3月、7月(2-10年債金利差のみ)
・1998年6月、9月、1998年11月-1999年1月(1か月を除き2-10年債金利差のみ)
・2000年2月~12月(2-5/2-10年債金利両方で発生)
・2005年12月~2007年5月(2-5/2-10年債金利両方で発生)
になります。
2000年のと2006年~2007年の逆イールドについて
それなり長期で発生したのはITバブル崩壊前の2000年と、リーマン・サブプライムショック前の2006年~2007年になり、逆イールド発生後に大きめの景気後退及び株価の下落が起きています。
但し、この時はどちらも逆イールドが発生してから株価の大幅下落が発生するまでには年単位の時間が掛かっているので、これだけ見ると現時点ではあまり心配しなくても良いような気はします。
1998年~1999年の逆イールドについて
また、少しだけ逆イールドが発生した1998年は、1998年6月に8952ドルのダウ平均が2ヶ月で7539ドルと約15%下げています。
こっちは逆イールドの発生期間も株価の調整期間も短めで、数か月後には高値を奪還して年単位で上げ相場が続いています。
上記を踏まえた今後の株価の見通し
サンプル数が少ないので、何とも言えないですが、逆イールドが続いた後にタイミングは違えど景気悪化&株価下落が発生したケースはあるので、2000年や2006年~07年のように逆イールド状態が長く続くようであれば、先々の備えは考えた方が良いようにも思います。
また、1998年の15%の調整を今の株価に当てはめるとダウ平均4000ドルの下げ→26000ドル台がピークと考えると22000ドル台まで調整、というシナリオも景気悪化しない場合であっても、瞬間最大風速の下げとしてはこの位見ておいてよいような気もします。
ただ個人的に、アメリカの景気は当面盤石というのが現在の見通しではあるので、アメリカ発のリセッションというのはあまり気にしなくてもよいかな、というのが今時点の考えです。
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