「日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業」(中原圭介著)の感想・レビュー




経済アナリストの中原圭介さんの新作本(4/19発売)を読みました。
中原さんは普段から客観的データに基づいた分析を行っており、日本のマクロ経済を見通す上で個人的に参考にしている人の一人です。

本書も今後の日本経済を考える上で参考になる内容であり、お値段も800円台なのでマクロ経済を気にしている人であればコスパは悪くないと思います。


日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業 (講談社現代新書)

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感想・レビュー

本書の内容はざっくりとこんな感じです。

①現在の世界経済は借金によるバブルである
②イノベーションにより雇用の絶対数が減り二極化が進む
③30年続く少子化により日本はヤバイ
④考えられる少子化対策は大企業による地方創生

それぞれ簡単な解説と、個人的な考えを書いていきます。

①現在の世界経済は借金によるバブルである

現在の世界景気はアメリカの個人消費に支えられているが、アメリカの家計債務はリーマンショック前を超えて過去最高水準になっており、今後の金利上昇によりブレーキがかかる可能性が高い。とのこと。

個人的な考えとしては、アメリカの金利上昇は個人消費に対するマイナス面がある一方、(日本と違って)アメリカでは今後若年人口が増えて純粋な需要が増えていくプラス面もあるので、多少足踏みすることはあっても、リーマンのようなバブル崩壊的な経済クラッシュはないと考えています。
もっとも今の株価を許容できるような経済の強さがずっと続くほど楽観はできないとも思いますが。

②イノベーションにより雇用の絶対数が減り二極化が進む

分かりやすいところだと、最近はアマゾンを始めとしたネットショップのシェア拡大→小売店が減る、という流れはよくありますが、総売上が同じであってもネットショップと小売店では従業員数が全然異なります。
また、製造業とIT企業を比較しても同じ売上・利益を上げるために必要な従業員数は全然異なります。

こうした要因で雇用は減り、ITでは代替できない人やイノベーションを生み出せる人に仕事や富が集中する流れになるという内容です。

基本的に、日本も世界も同様にこの流れは止まることは無いと思います。
とりあえず個人的にはイノベーションによるマイナス面を避け、プラス面を上手く享受しつつ、子供たちにがこの方向性に適用するためのサポートが出来ればと思います。

③30年続く少子化により日本はヤバイ

これは色々な所で語られていますが、人口減少と高齢化による税収不足と社会保障費の増大は今後も続き、税金や社会保険料は増え、受けられるサービスは減っていく方向なのは間違いありません。

現実として政治的に解決不可能な問題だと思うので、政治や国の環境がどうあれ自分と自分の周りの人が良い方向になるよう考えて動くしかないかと思います。

④考えられる少子化対策は大企業による地方創生

コマツ(6301)が創業地石川県に本社機能を移し、行政も巻き込みながら地方の活性化に繋げていく事例が紹介されていました。

この東洋経済の記事の内容に近い内容になりますので、興味ある方は見てみて下さい。

個人的にこういった社会的な問題解決は政治ではなく民間がちゃんと利益を上げつつやらないと続かないと思っているので、このコマツの取り組みは純粋に素晴らしいと思います。
現実的に利益を上げつつ地方創生も出来る企業は限られるとは思いますが、同じような企業があったら応援したいと思います。

おわりに

分かっていたことも多いけど、やっぱり日本の未来は全体としては色々と厳しく、個人レベルではこれまで以上に二極化の流れが進むむのだろうな、というのが印象で、かつ実際そうなる可能性は高いと思います。

本文の繰り返しにはなりますが、世の中がどうあれ自分と自分の周りの人が幸せに生きれるよう、日々考えて生活するのが大事だと思いました。


日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業 (講談社現代新書)




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